甕を覗く色


日本固有の色名の中で僕が好きな色の名前。

別に色が好きなわけではないです。


古来、藍染めの技術というところでは、

日本はかなりのものだったんです。

藍染めに限らず、なんですけれども。


その中でもこの、一見すると怪しげな名前。

甕を覗くってどんな意味?って感じですよね。


そもそも伝統の藍染めというものは、

甕の中に藍の染料(液体)を入れ、その中に生地を浸け、

引き上げて乾かした後にまた浸けて。

その繰り返しで色合いをどんどん濃く、深くしていきます。


この甕覗という色は、

藍の染料が入った甕をさっと1回潜らせただけ。

そんな意味の名前だったりします。

1回だけだからこんなに薄い色なんですね。


にしてもですよ。

『1回だけ甕を潜らせた色』で『甕覗』

このネーミングのセンスがもうたまらんのです。

『覗く』で伝わりそうですよね、雰囲気でなんとなく。


色を知らずにこの名前だけ聞くと、

一体どんな色なのか想像もできないと思いますが、

由来や作業工程を知ることで納得できます。

だから初めてこの色名を知った時は衝撃でした。

てっきり薄暗い色だと思っていたので。




日本古来の色の名前、

それを知れば知るほど、

洒落ていて、響きが綺麗なものが多いです。


先人たちがいかに色にこだわりを持っていたか、

それがビシビシと伝わってきますので、

お時間あれば図書館にでも行ってみて、

色の世界に旅立っていただければと思います。




今どきの若いもんは・・・、

とか言いたくはないと常々思っていましたが、

「甕って何?」って聞かれて唖然としました。


こうやってパソコンで変換するから『甕』にしましたが、

実際に書けと言われたら絶対に書けないので、

今どきの~と言いかけた瞬間に飲み込んで、

そこは優しく「壺の親戚」という説明で終わりました。


たぶん間違ってないはず。

楽色時間

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